2011.07.13 Wednesday

「せんせいのかばん」

を、見て、思い出した、お話。

『センセイの鞄』

です。

はい、本日、せんせいが、いつものかばんを持って、我が家にいらっしゃいました。
つまりのところの個人レッスン日です。

で、レッスンの話ではなくて。
かばんのおはなし。
しかもせんせいの話ではなくて。

『センセイの鞄』
のお話です。

ワタシメのチェロの先生「せんせい」も。
いつも、同じ鞄を持っていらっしゃってて。
この大きさ、この形でなきゃ、せんせい、嫌なんだろうなぁ、ってふと思うことがあります。
そうそう『センセイの鞄』という小説に登場する「センセイ」も。

いつも同じ鞄を持ち歩いている、って設定だったよなぁ…

って。

10年に一度の「本の虫期間」に、突入中のワタシメ。

久々に、なんとなく、この作品を読み直してみたくなって。
(10年ほど前に、この作品を、当時の職場の方が貸してくださって、読んだのでした。)

本屋さんで文庫本を買って、ついこの間、読み直したのでした。
それで。
『センセイの鞄』のはなし、ブログに書こう、って思ってたんですが。
なかなか機会もなくて。

今日、せんせいのいつものかばんを見て。

そうそう。
『センセイの鞄』を、ワタシメが、読み直した話、書かなきゃ。

ってことで。

……と、長い前置きはさておき。
(って、そもそもせんせいがレッスンに来てくださった日であるのに、レッスンの話を一切しない、超不届き者生徒のワタシメでゴザイマス。…だって、この2週間、1度もレッスンの曲弾いてないし、自宅でチェロ触ったのも30分くらいだったですし…今日はもうホントにレッスンにならない状態でしたから、ワタシメ。すみません…。)

『センセイの鞄』

という、文学作品。

ベストセラーになったので。
そうそう、谷崎潤一郎賞も受賞した作品ですし。
しかもドラマ化もされたので。
(小泉今日子さんと柄本明さんが主演されてましたね)
ご存知の方も多いですよね、です。
川上弘美さんが書かれた小説です。

ゆっくりと淡い四季の移ろいの中で。
「センセイ」と、主人公「ツキコさん」の日常を、淡々と描く小説です。
小説の9割5分、そんな日常をのお話、描いてます。
突発的な大きな事件も起きないし。
登場人物が特殊な人でもない。
普通の人の、普通の日常を描いた作品です。
それなのに、しかも、かなり前に読んだ作品なのに。
ワタシメの中に、しっかり、記憶に残っている作品でして…。

文学作品、純文学作品と言われる小説です。
それこそ、大学のゼミなんかで、取り上げられてもいいくらいの作品だし、卒論の研究作品として取り上げても、怒られないような。
そんな、文学作品。

(日本文学科卒のワタシメですが、そのへん、ようわかってないんですが、学問として文学作品を究する場合、イマドキの携帯小説などは、小説とは呼ばず、きっと「ワカモノ文化」として扱われ、文化の研究としては認められると思いますが、文学作品としては、扱われていない気がします。大学の日本文学を専攻する場合においては、作品の解析とか、作品自体を学問に出来るのはあくまでそういう「純文学」と呼ばれる作品、だけのような気がします、ってそんなこと書いたら、怒られるような気がしますが…というわけで、ワタシメのあくまでなんちゃってな私見ということで、ご理解ください。)

『センセイの鞄』という作品は。
おそらく、専門的観点からしても。
れっきとした、文学作品
なのに。

お難くて何書いてあるかわからん。

ってことは、一切なくて。

すんなり、読み進められるし。
読後、何故か、ものすごく印象に残る、という、そんな作品です。

読み直してみても。
やっぱり、同じ読後感、でしたね…。

そして、最後のページだけは。
ほんの少し涙が出てしまいます…。


表現の仕方が、美しい。

単なる恋愛小説ではなくて。
文学作品であるのは、多分、それがゆえんなんだろうな、って思います。

空気の色、温度、におい。
それらを全て、ともなって、読者にその世界を感じさせることができるのは、きっと、文学だからなんだろうなぁ…、って思います。

ただの作文では、そんなことはできないし。
ただのノンフィクションでも、現実が羅列されるだけだけれど。

読者をその世界にいざない、その世界観をそのまま感じさせることが出来るから、純文学作品、って言われるんだろうなぁ…

と、頭の隅っこで思ったことだけ、書いておきます。

あとは、読んでください、ってところかな…

私が「好きな作品、何?」って聞かれたら。
読書量は全くないに等しいワタシメでありますが。
今ならいの一番に
「川上弘美さんの『センセイの鞄』」
って、答えるだろうなぁ…


…最後のページだけは。
淡々としているけれど、何事もなかったように、終わっているんだけど。

もし、自分が、ツキコさんだったら?
を、考えたら。

切なすぎて、辛いんですが…。


頭の、ほんの隅っこで。
正直。
時間って、後どれだけ、残っているんだろう、と。
考えてしまいました…。

今は、あたりまえではなく。
今は、いつか、過去になるんです。

わかっているけれど、多分、私の頭は、それを実感していないんだな、って。
そう思います…。
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